和太鼓の指導について

 体育指導と音楽というと、つながりをあまり感じられない方も多いかと思います。実は、体を効率よく動かすためには、リズムが必要なのです。
 例えば、跳び箱を行う際には、助走する・ジャンプする・踏切り板を蹴る・跳び箱に手をつく・体重を移動させて跳び箱を越える・着地するとう複雑な動作がいくつもあります。
 この動作をスムーズにしかも一瞬で行うには、リズムが大切になってきます。リズムよく体を動かす事ができれば、助走の歩幅や踏切のタイミング、ジャンプするなどの一連の動作が効果的に行えて、運動機能も向上するのです。

和太鼓指導イメージ

 このリズム感は、和太鼓の指導でも言える事です。契約先の保育園やこども園では、体育指導と並行して和太鼓指導をしているところはたくさんあります。
 同時に指導を行うことで、リズム感を養い、運動機能も向上し、筋肉の発達が促進すると、さらに和太鼓をたたく力も満ちてくるからです。
 このリズム感は、ことばを交わすコミュニケーションにも重要な役割を果たしますので、子供たちの発育には、重要な役割を果たします。

 和太鼓の指導方法は、体育指導と同じです。まず、保育士の先生方に指導方法を直接伝えて、次の指導日までに、ある一定のレベルまで子供たちに教えてもらう事になります。
 和太鼓は、作曲された楽譜をもとに、それぞれのパートを練習する事が求められます。
 大太鼓のリズムと締め太鼓・小太鼓のリズム設定は違っており、そのリズムは合わさったり、離れたりすることで、迫力があり、なおかつ繊細な演奏になるのです。
 例えるなら、打ち寄せる波から荘厳な山脈の頂にたったような壮麗さ、軽やかな風の表現など大自然の営みを、打楽器を通して、表現していきます。

 保育士の先生方には、どのように楽譜を読めば作曲された曲の魅力を引き出せるのか、また、指導する際の留意点などを伝え、実践していく手順を実際に体験してもらいます。合わせて、子供たちへの接し方、指導方法、練習する際の手順について具体的にディスカッションをしながら行いますので、不明な点や不安な部分などは、直接ご相談を承ります。

 ひとつの曲を仕上げるまでには、新曲で通常6ヶ月程度かかりますので、その間は日常の保育とは別の次元で、太鼓指導という関わりを子供たちと時間を共有しますから、保育の質は自ずと向上していくのです。

 長年、太鼓指導をしていて思うのですが、子供たちの成長とともに保育士の先生方の考え方や保育の在り方なども同時にレベルが高くなりますので、園内でのコミュニケーションも活発になります。
 子供たちも、曲がだんだんと形になり始めると、今までやってきた事がチームとして達成できる喜びを感じることができるので、自分以外の相手とどのように関わったほうがいいのかを和太鼓の演奏をと通して学ぶ事ができます。

 日本古来の和太鼓・篠笛・鼓などは、実は指揮者が存在しません。昔から、阿吽の呼吸で演奏が始まり、全体のリズム調整も複数の特定の楽器が役割を果たします。
 曲の全体の流れを感じつつ、仲間とのバランスもとりながら、一つの目標に向かってつきすすむさまは、大海の荒波を力強く突き進む船の様子を思い出させます。
 演奏する際の真剣な眼差し、披露が終わったあとの感動とすがすがしさは、ほんとに子供たちがキラキラと輝いている瞬間です。

 音楽を通して感動を味わう事は、子供たちにとって自信という大きな宝ものになるでしょう。幼児教育の一環として、ぜひ、ご検討ください。

にしもん体育教室
代表 西門 哲也